しみ
しみとは
メラニンが肌に沈着して生じる、薄茶〜濃褐色の斑点を指します。原因は紫外線や加齢をはじめ、ホルモンバランスの乱れや遺伝要因などさまざま。種類は老人性色素斑、肝斑、そばかす(雀卵斑)、脂漏性角化症(SK)、遅発性両側性太田母斑様色素斑(ADM)などに分類され、加齢とともに混在して現れることが多いのが特徴です。
最も一般的なのは老人性色素斑で、長年の紫外線の蓄積により30代頃から少しずつ出現し、40歳前後で「急に増えた」ように感じることがあります。顔、手、背中、前腕伸側などに多く、初期は薄茶色で徐々に濃くなり、数mm〜1cmほどの丸い斑が典型。経年で隆起して脂漏性角化症へ移行することもあります。
治療
元の肌印象に近づける有効策がレーザー治療です。しみに広く用いられるのはQスイッチルビーレーザーで、あざにも適応があります。メラニンに選択的に反応するため周囲の正常細胞を傷つけにくく、状態に合わせて出力を調整します。照射時は輪ゴムで弾かれたような痛みを感じることがあり、希望により表面麻酔で軽減可能です。
照射後は治療部位にかさぶたが生じ、約10日で剥がれ、その後は赤みが残ります。炎症後色素沈着が出ることもあるため、適切なスキンケアをご案内します。老人性色素斑では1〜2回で十分な効果が期待できることが多く、ダウンタイムを避けたい方にはフォトフェイシャル(M22/光治療)で徐々に薄くする方法や外用薬からの開始も可能です。
そばかす(雀卵斑)
そばかすとは
遺伝性のしみで、鼻〜頬骨を中心に、頸部や前腕など日光の当たりやすい部位に細かな茶色の斑点が散在します。10代から現れやすく、紫外線で濃くなる、色白の方に多いといった傾向があります。
治療
主にフォトフェイシャルM22(IPL/光治療)を行い、必要に応じてビタミンC・Eなどの内服を併用します。再発予防には紫外線対策が重要です。
肝斑(かんぱん)
肝斑(かんぱん)とは
頬骨の高い位置に左右対称で広がる、薄茶〜灰色の“刷毛で塗ったような”境界明瞭のしみです。額や鼻下に出ることもあります。原因として、慢性刺激の蓄積による炎症や、妊娠・経口避妊薬・更年期など女性ホルモンの変動が関与するとされます。30代以降の女性に見られますが、発症頻度が極端に高いわけではありません。老人性色素斑に似て見えることがあり、誤診に注意が必要です。両者は治療法が全く異なるため、まずは適切な診断が大切です。
治療
肝斑にはレーザー治療は基本用いません。第一選択はトラネキサム酸(トランサミン)内服で、色素沈着の抑制が期待できます(すべての方に有効とは限りません)。状況に応じてビタミンCの内服や外用薬を併用します。紫外線や摩擦などの刺激を避けるケアも重要です。
