ほくろ(母斑)

ほくろとは

メラニンをつくる色素細胞が変化した母斑細胞の集まりが、いわゆるほくろです。平らなものから盛り上がるものまで形状はさまざまで、色も褐色・茶色・黒色など幅があります。自覚症状は通常ありませんが、子どもの頃は平坦でも成人後に隆起してくることがあります。多くは良性腫瘍のため、見た目が気にならなければ治療は不要です。ただし、急に出現して短期間で5〜6mm以上に増大、色むら、潰瘍などがあれば、悪性を含む鑑別が必要です。

治療法

治療は手術切除(縫合)または炭酸ガス(CO₂)レーザーが基本です。部位や大きさ、術後の見た目(瘢痕)など利点・欠点を比較し選択します。場所によっては病理検査を行います。

CO₂レーザー

水に吸収されやすい特性から組織侵襲が少なく、出血を抑えつつ隆起を削るように除去できます。処置は約15〜20分。一方で手術より再発率が高い、病理提出ができない点が欠点です。大きい・深い病変では2〜3回程度の通院が必要になることがあります。

手術切除

メスで切除し、吸収糸・非吸収糸で縫合します。所要約30分。確定診断をつけたいとき、一本線の瘢痕で仕上げたいときに適します。いずれも局所麻酔と術後の軟膏処置が必要です。

いぼ(疣贅)

いぼとは

いぼは医学的には疣贅(ゆうぜい)と呼ばれ、主に

  • 尋常性疣贅:ヒトパピローマウイルス(HPV)感染によるもの
  • 老人性疣贅(脂漏性角化症):加齢や紫外線による細胞増殖で生じるもの
  • アクロコルドン/スキンタッグ:頸部に多発する小さな隆起

が代表です。尋常性疣贅は小さな傷から感染して発症し、手足の甲・指・爪周囲・足底・肘・膝などに生じやすく、時間とともに大きく盛り上がり表面がざらつくのが典型です。足底では圧迫で盛り上がらず、歩行時に痛みを伴うことがあります。多くは痛みやかゆみなしで経過します。

治療法

基本は炭酸ガス(CO₂)レーザー〈自由診療〉で行います。局所麻酔で痛みを軽減し、病変を焼灼。その後は抗炎症外用または創傷被覆剤で処置します。治療時間はほくろとほぼ同程度です。
アクロコルドン/スキンタッグは小さければ液体窒素(保険)での焼灼も可能ですが、大きい・多発の場合はCO₂レーザー(自由診療)で除去します。