できもの(粉瘤など)

粉瘤とは

皮膚の下に袋状の空間ができ、皮脂や古い角質などの老廃物が溜まってドーム状に隆起する良性腫瘍です。大きさは数mm〜数cm(まれに10cm超)。顔・首・背中・耳の後ろ・鼠径部に生じやすく、外傷をきっかけに手のひら・足裏にできることも。単発だけでなく多発する場合もあります。
見た目はニキビに似ますが、中央に黒点状の開口部を伴うことが多く、通常はかゆみや痛みなしで経過します。無理に圧迫して潰すと、腐臭のある粥状物が排出され、細菌感染(発赤・腫脹・痛み)を起こすことがあり、これを炎症性粉瘤と呼びます。

治療

感染時

切開・排膿後、軟膏処置+抗菌薬で炎症を鎮めます。

炎症が落ち着いている時

外科的切除(日帰り・局所麻酔)を行います。抜糸まで約1週間は軟膏処置を継続します。

手術方法

粉瘤の大きさ・部位により切開法またはくりぬき法を選択します。

切開法

袋(被膜)を破らずに全摘。
再発が少ない/過去に炎症があっても取り残しにくい。

くりぬき法

小さな孔から内容物を除去し、袋も取り出す。
傷が小さく目立ちにくい/手術時間が短い。

しこり(脂肪腫など)

脂肪腫とは

脂肪組織が増殖してできる良性腫瘍。大きさは1cm〜10cm以上までさまざまで、単発・多発いずれもあります。皮下の柔らかい塊として触れ、40〜50代に多く、肩や背中に生じやすい傾向があります。原因は不明ですが、遺伝や外傷が関与する可能性が指摘されています。
多くは自覚症状なしで経過しますが、急速増大や痛みを伴う場合は外科的治療を検討します。

当院の方針

局所麻酔下の日帰り手術は5cm以内を適応とし、より大きい場合や局所麻酔が困難な場合は、全身麻酔対応の病院へご紹介します。術式は腫瘍直上を小切開して切除し、縫合して終了。抜糸まで約1週間は軟膏処置を行います。

異所性蒙古斑

異所性蒙古斑とは

蒙古斑は出生〜生後1か月頃に臀部中心にみられる青色母斑で、黄色人種に多い所見です。真皮の深さにメラノサイト(色素細胞)が残存することで生じます。臀部・腰仙部以外に出現、あるいは広範囲にみられるものを異所性蒙古斑と呼びます。
蒙古斑・異所性蒙古斑は6〜10歳頃までに薄くなることがありますが、異所性は自然消退しにくい傾向があります。

治療

濃い・広い病変には保険適用のレーザー治療が可能です。Qスイッチルビーレーザーでメラニンを選択的に破壊します。範囲・濃さにより分割照射を行い、同部位は3か月以上間隔を空けます(1部位最大5回が基本)。合併症などが出現した場合は間隔を延長します。
レーザー後の炎症後色素沈着などを踏まえ、自然消退を待つ/経過観察を選ぶこともあります。

注意点・合併症

色素脱失・色素沈着・肥厚性瘢痕・熱傷などが30〜60%の頻度で起こり得ます。照射時は輪ゴムではじかれたような痛みがあり、麻酔クリームで軽減可能です。術後は数日間の軟膏塗布と保護、1〜2か月は日焼け止めと保湿を継続してください。